ティーカップになりたい

お茶についての壁打ち

ミルクティーに使う牛乳

まず、結論から言うと私は好みに応じて好きなものを使えば良いと思ってます。

これは牛乳に限らず加工乳であっても、です。

飲食物である以上、各々の嗜好に差があるのは当然のことであり、正解があるものでも無いですし、どんなものを使っても美味しいと思えるならそれが一番です。

 

しかしながら、なぜかミルクティーということになると、即座に低温殺菌が良いと言い切る層は一定数いるように感じます。

もちろん十分に吟味した上でやはり低温殺菌が好ましいと考えたのであれば何の問題も無いのですが、あまり検討を経ずに低温殺菌が薦められることも多々あります。

そこで、この記事のタイトルを見て牛乳は低温殺菌でしょ、と思った方にこそ読んでいただきたいという気持ちを込めて牛乳の話をしようと思います。

 

そもそも、低温殺菌とは何の話かというと、牛乳は一部のごく例外的な商品を除いてほとんど全て殺菌して出荷されますが、その殺菌の方法の一つとなります。

厳密にはさらに色々と区分されたり、定義があったりはしますが、ざっくりと言えば巷で言われる高温殺菌とは高めの温度・短時間で殺菌を行ったもの、低温殺菌とは低めの温度・長時間で殺菌を行ったものを指します。

低温殺菌は高温殺菌と比べて熱による風味の変化が少なく、より生乳に近い味わいであると言われます。(高温殺菌自体もさまざまな手法があるので実際はそう単純でも無いと思いますが。)

 

ミルクティーに使う牛乳という局面で低温殺菌が良いと言われるのはこの「生乳に近い味わいである」点にあると思われます。

この点、まず疑問となるのは果たして生乳に近い味わいであることがミルクティーとしての美味しさに繋がるのかということです。

そもそも、重要となるのはお茶と合わせてミルクティーにした際に美味しくなる素材であるかであって、素材の選択のための一考慮要素とはなり得ても、生乳に近い味わいであることがミルクティーにとってプラスになるかはなお検討の余地があると思います。

仮に生乳に近い、だから美味しいミルクティーが作れるとの結論を採るのであればむしろ低温殺菌ではなく、無殺菌の思いやり牛乳(http://www.omoiyari.com/cgi/txttohtm.cgi?def=webdiary.cfg&text2=information/data/index.txt&text=blog/data/last.txt&temp=toptemp.html)を提案すべきであり、低温殺菌を薦めるのは主張が貫徹されていないようにも感じます。

ミルクティーの調理の素材として選択する以上、生乳に近いかではなく、目標とする風味の実現のためにどの風味の牛乳が好ましいかという観点から選ぶのが望ましいでしょう。

また、低温殺菌はあくまで牛乳が出来上がるまでの一段階の話であって、飼育環境や飼料などの風味に影響を及ぼす他の要素はまるで無視されることが多いことも疑問です。

高温殺菌にしても低温殺菌にしても牛乳は何種類か飲み比べてみるとそれぞれパッケージごとの個性があります。

高温殺菌だから美味しい/不味い、低温殺菌だから美味しい/不味いと単純に判断できるものではありません。

殺菌により生乳からの多少の風味の変質は免れ得ないことからむしろお茶で言うところの焙煎か清香かくらいの区別と考える方が適切なのではないでしょうか。

焙煎系のお茶が好きだからといって批判される謂れはないように高温殺菌がより好みであると考えることも認められて良いはずです。

高温殺菌か低温殺菌かだけから選ぶのではなく、殺菌方法を考慮に入れるにせよ他の要素も総合的に考慮してそれぞれ飲んで好みかどうか判断すべきだと思います。

 

低温殺菌を無条件に薦めてくることへの批判のようになりましたが、乳脂肪分が高い方が良い、ジャージー乳だから良い、ノンホモだから良い、といった主張にも同様のことが言えます。

牛乳にしても、普段お茶を選ぶときにするように、味見をして好みを見つける、人の情報を鵜呑みにしないで自分で考えて判断する、このような態度が大切だと思います。