ティーカップになりたい

お茶についての壁打ち

お茶のブレンド

1、お茶のブレンドをどのように行うか、ということについて私なりに検討してみようと思います。

とはいえ、初めに断っておきますが、私はお茶を業としているわけでもなく、ただただ趣味でお茶を飲んでいるだけなので、あまり鵜呑みにせずに何か参考になる部分があれば拾っていくという程度にお読みいただければ幸いです。

なお、家庭でお茶を混ぜること、即興的で再現性の無い混ぜ方をすること、についてはミキシングと呼び分けることも考えられますが、ここではお茶を混ぜ合わせるということ全般について便宜上ブレンドと呼ぶこととします。

 

2、(1) まず、ブレンドは①原料とするお茶の性質の把握、②抽出方法・比率の設定、③ブレンドの目標の設定、の3つの過程に分けて見ることで方向付けがしやすくなるのではないかと思います。

①~③は相互に関連するものであるため明確に区分されその番号の順に行っていくものというわけではなく、状況に応じて優先順位を変える、いったん決定して試したうえで再検討していくなど落としどころを探って柔軟に行っていくことになります。

(2) 例えば、③が明確な場合(異なる原料を使って同一の風味を再現するという意味でのブレンド)、③は先行して完結しており、③で設定された目標に到達するために使えそうな原料を探す(①)、その原料を使う場合の抽出方法を考える(②)という検討順序、あるいは抽出方法まで決め打ちにして原料の調達に重点を置く検討順序などが考えられます。

また、別な例を挙げるならば、消費したいが単品では飲み難いお茶があるといった場合、そのお茶について①が先行し、手持ちの他の茶葉の状況により①~③を適宜行っていくことになります。

(3)ア、以下で①~③についてより具体的に見ていきます。

イ、①はブレンドの核心となる部分です。個々のお茶の性質を十分に見極めなければ混ぜ合わせた際にどのようになるのか、どうしてそのようになったのか、ということも把握できず、調整の方向も全くの手探りになります。

そこで、性質といってもどのような部分に着目していけばいいのかというと、風味とそのお茶の持つ風味がどのような条件で抽出すれば出てくるのかという点です。

風味の把握については各々に慣れた方法があり、また私が説明できるほどお茶を知っているのかという点も疑問であるのでここで詳しくは述べませんが、今までに経験したどのお茶の風味とどういった点で共通(あるいは相違)しているのかという意識をもって飲めばやりやすいのではないかと思います。

次に、そのお茶の持つある風味がどのような条件で抽出すれば出てくるのかを把握するということについて、(ⅰ)水質、(ⅱ)湯温、(ⅲ)蒸らし方(長蒸らしにするか、短時間で上げて抑えるのか、煎を重ねて段階的に引き出すのかなど)、(ⅳ)茶葉量(少量でも風味が出てきやすいか、多めに使う必要があるか)、(場合によっては(ⅴ)茶器の材質)といった観点から見ていきます。

ウ、②では、最終的にどの風味をブレンド全体の中でどの程度発揮させたいのかという観点からどう切り貼りするのが最適であるのか考えることになります。

ティーポットで淹れるか、蓋碗で淹れるか、あるいはもっと柔軟な抽出が可能なようにするのかといったことを念頭に置いて(この点で③とも密接に関連する)、比率を決めていきます。

比率を決める際には、①で得た情報を基礎にして、複数のお茶を組み合わせた場合にある抽出条件のもとにどのように風味が出てくるのかを予測して、立体的な風味のイメージの中でどこに位置づけていくのかを意識して調整していきます。

エ、③は各々の好みや環境(水質、手持ちの茶器など)に応じて設定していくことになるかと思います。

また、前述の例で挙げたように手持ちの茶葉だけから逆算して無理なく到達できそうなブレンドを導き出すというのも一つの方法としてあると思います。

 

3、最後に家庭でブレンドを行うことの意味ですが、個々人の嗜好・暮らしに最適化されたお茶を用意することができるという点にあります。

市販のお茶というのはあくまで自分個人を対象としたものではなく、何らかの層をターゲットとして用意された商品であり、それ自体十分に楽しむことができるものではありますが、より具体的な自分自身の状況に合わせたブレンドを用意することでお茶の楽しみ方を広げることができます。

加えて、ブレンドを試行するうちにお茶の理解もより深いものにしていけるのではないかと思います。